2014年7月30日水曜日

テーハミングだけじゃない。韓国Kリーグのチャント事情

成田-仁川間のフライト約2時間半。時差無し。我が国から最も近い外国、韓国。

(東アジア選手権@チャムシル競技場にて。試合後はさぞ殺伐としているのだろうと身構えてスタジアムを出たら日韓両国のサポーターが記念撮影していて拍子抜けしたのを覚えています。)


昨年の東アジア選手権で「歴史を忘れた民族に未来はない」というメッセージとともに李舜臣と安重根のビッグフラッグが掲出された件はまだ記憶に新しいところ。度重なるラフプレーや政治的主張で韓国サッカーに対してネガティブなイメージを持っている方も多いかと思います。
何かとめんどうな方向に話題をふりまく韓国代表サポーターグループ「レッドデビルズ」ですが、その一方で、Kリーグのサポーターがどういった応援を展開しているのかというのはあまり知られていないように思います。


というわけで、今回はKリーグクラブのチャントを原曲を交えて紹介していきます。


水原三星ブルーウィングス


韓国最大規模のサポーター数を誇るスウォンサムスン。バンデーラ(タスキ)を多用しアルゼンチン太鼓を打ち鳴らすザ・南米インチャスタイルが基本ですが、時折Moonlight ShadowやYellow Submarineでイタリア感を匂わせてくることも。(集会動画)




水原三星といえばコレという代表的なチャントですね。原曲はNO BRAINという韓国のパンクバンド。チャントの歌詞で歌ったバージョンも存在します。

2001年にフジロックフェスで来日した際、韓国国歌を歌いながらステージで日章旗を破るパフォーマンスを行い話題になりました。過激な反日思想を持ったバンドなのかと思いきや意外に親日家だったそうで、ボーカルが影響を受けたバンドのひとつがTHE BLUE HEARTSだったり、SNAIL RAMPやロリータ18号と友達だったり、YOUNG PUNCHのプロデュースでUKプロジェクトからCDを出したりと日本のバンドとも親交があったようです。韓国ではかなりの人気を誇るバンドで、海外のフェスに出演するなど現在も活動中。どんなに売れても小さいライブハウスでの活動を信条にしているという点にパンクスとしての気概を感じます。


(1分36秒~)

世界有数のチャント製造工場、San Lorenzoからの流用。




日本でもおなじみのエンターテイナーですが、韓国ではよりオリジナルに忠実なメロディーで歌われています。


仁川ユナイテッド



水原に比べサポーターの規模は劣りますが、ビッグフラッグ、スタジアムへの集団行進(コルテオ)などウルトラス的見どころの多い仁川。イタリア風の応援と青黒のクラブカラーが特徴です。ぜひガンバ大阪と応援合戦をやってほしいところ。
ゴール裏を率いるULTRAS HAWKは積極的に動画をアップしているので、手軽に応援風景を見ることができます。熱いです。






原曲は韓国のOiパンクバンドDirty Small TownのLet's boating Party。前述のNO BRAINと比べるとアングラなシーンで活動していたバンドで、以前は日韓Oiフェスティバルにも出演していたそうですがボーカルが急死してしまい解散。原曲動画の前半部分で流れる曲もチャントに使われているのですが(おそらく別のバンド)、そちらの情報は発見できず。






ポール・マッカートニーの名曲をチャントに持ってくるとは・・・しかしその振り付けは一体・・・(笑)





言わずと知れたチェルシーのオフィシャルアンセム。まさかの山形とおそろい。


城南一和天馬



A3やACLで長年Jリーグの前に立ちはだかってきた城南一和でしたが、メインスポンサーだった統一教会総裁の死去をきっかけに財政難に。現在は市民クラブ「城南FC」として再スタートを切っています。

韓国屈指の強豪だったにもかかわらずサポーターは少なかったようです。数年前にACL決勝ゾブ・アハン戦を見に行った際には国立のゴール裏が6割ほど黄色で埋まっていましたが、どうやらそのほとんどは統一教会から動員された方々だったらしく、頑張って応援していたのは韓国から来たと思われる真ん中の20人ほど。

長くつ下のピッピYankee Doodleなどヨーロッパの定番チャントばかりですが、ひとつだけ気になるものが・・・


まさかのFRONTALE 2000。ACLで川崎と対戦したときに持ち帰ったのか、もしくは偶然Youtubeで発見したのか・・・真相は不明。


FCソウル







Jリーグの応援を参考にしていると思われる選曲の数々。南米系も欧州系もアッコちゃんもごちゃまぜにしているあたり、応援スタイルに確固たるポリシーはないという印象。首都ということもありKリーグのなかでは集客力のあるクラブです。



日本と同様サッカー後発国である韓国も、欧州南米双方のおいしいところを取り入れつつ自国の曲をうまくチャントにアレンジして歌っています。

他にも、全北現代蔚山現代大田シチズン大邱FC浦項スティーラーズなど、規模は小さいながらも各クラブにウルトラスが存在し応援を繰り広げています。ご覧のとおり、日本と同じチャントを使ってるケースも多いので、雰囲気の違いを感じながら見比べてみると面白いかもしれません。





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